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ポケモンH.G.トリップもののメモ帳。
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「ねぇねぇ、眠り姫って童話知ってる?」
 ミレイがそんな事を言い出したのが、夢渡りをした先のイッシュの研究に乗せられてやろうと決めた、その夜の事。
「知ってるんなら、それで良いや。わたし、そこに鍵を託して出掛けっから!」
 その鍵を使わないといけない事態になるとは、その時は彼女は考えていなかったのだろう。

 ミレイが目を覚まさなくなって、数日が過ぎた。
 イッシュでの冒険は、そこまで心躍るものだったのだろうか。それなら、いっそ遠距離恋愛になるのを承知で、海を渡ってしまえば良かったものを。
 残されたこちらの身にも、なれって事だよこんちくしょう。心配になるじゃねーか。
 ぼんやりと、人形みたいに生気のない彼女の寝顔をぼんやり眺めていたら、携帯が鳴る。
 ポケギアではなく、携帯が。番号は……ミレイの弟。
「もしもし」
『もしもし、グリーンさん!?』
 電話の向こうの声は、何だか切羽詰っていた。背後で聞こえる音は、街行く人のざわめきではなく、激しいポケモン達の鳴き声。
『どんな手段使っても許すんで、姉を叩き起こしてください! プラズマ団に操られちゃってて、精神崩壊起こしそうなんです!!』
「何だって!?」
 つまり、帰ってこなかったのではなく、帰れなくなっていた……?
 慌ててすぐそこに眠っているミレイを揺さぶる。頬を軽く叩いてみる。
 ……反応しない。
「おい、ミレイ! 起きろ!」
 激しく肩を揺さぶっても、相変わらず反応はなし。
「起きねーぞ!?」
『何か、鍵はグリーンさんに託したとか言ってたんですけど……! 早く起こさないと、せっかく時間を稼いでもらってるのに』
「鍵だぁ!? 眠り姫って童話を知ってるかって……まさか!」
『……そのまさか、ですね』
 緊迫した状況の筈なのに、オレとミレイの弟との間に、何とも言えない空気が共有された。
『……白雪姫じゃないだけマシだと思って諦めて下さい……。姉には、後で俺からもうんと文句言っておきますんで』
「どーしてこういう時だけ大胆な事しかけやがるんだ……!」

 彼女は、彼が何を言っても、微笑を浮かべて話を聞き、相槌を打ってあげていた。
 たとえ彼が、どんな女の子と、どこに行って遊んできたかというような話であっても。
 彼女は決して彼に媚びるような態度は見せなかった。
 彼女は彼が遊びに誘っても、遠慮し続けた。
 ありていに言って、彼女は彼に気がないようにも見えた。

「それでいいの」
 訊ねれば、彼女は普通に頷く。
 気付くものが見れば、一目瞭然だった。
 彼女が彼に恋していそうな事は。
「釣り合いませんし、自分を安売りしたくもありませんから」
 傍で見ていられれば、それで良い。
 彼女はそういって、痛々しい笑みを浮かべた。
「そう、なら」
 彼女に取引を持ちかける。
 自分と付き合う気はないかと。
「すみません、恋愛できるほど器用じゃないんです」
 浮気はしたくないと、断るだろう事は予想済み。
「恋愛感情なんてなくたっていい。形だけの結婚で構わない」
 彼の幼馴染である自分と共にいれば、いつまでも彼を見続ける事ができるのだと。
 悪魔のように囁けば、彼女は瞳を揺るがせた。
「いわば、同盟関係だ」
 あの情けない男を観察し続ける為の。
 彼は、何と思うだろう。
 いつまでも煮え切らないから、せっかくの、彼に誠実で上玉な女を取られてしまうのだ。

 最初に感じたのは息苦しさだった。何だこの人ごみは。何だ、この空気の臭いは。見渡す限りの人、人、人。ポケモンの大量発生だって、こんな密度にはなりゃしない。
「ふむ。ここに辿り着いたか」
 どこかで聞いたような、でも聞き覚えのないような声がすぐ背後からして、ぎょっとして振り返ると、そこには白い上着と濃い灰色のズボンに身を包んだ黒髪の青年がいた。
「ここにはポケモンはいないから、人間の姿を借りた。さて、行くか」
 その言葉で、相手がアルセウスである事を知る。
「我の……と言ったら、ここでは浮くのだったな。俺の事を、アルセウスとは呼ぶなよ。そうだな…、碓井とでも名乗っておくか。お前も、大木戸と名乗る分には構わぬが、グリーンなどとは言わない方が良いだろう。こちらでは、それは人につける名前ではない」
「ポケモンはいない、名前に制約がある、どんな世界だよ、ここは!」
 アルセウスは身振りで抑えるように伝えてきた。
「正直、大木戸という名字でさえ、お前が名乗ると大変な事になりそうな気がするのだがな。特に、これから行こうとする場所を考えたら」
「当てがあるのか?」
「お前に纏わりつく気配と同じものを、向こうから感じる。だが、あそこにあるのは、ポケモンセンターだ」
 その言葉を聞いて、色々と拍子抜けした気分になった。ミレイはトレーナーの端くれなのだから、そりゃあポケモンセンターにいてもおかしくはない。だが、それだと矛盾する点もある。
「ポケモンセンターの何がそんなに恐ろしいんだよ。っつうか、ポケモンセンターあるんなら、ポケモンいるって事じゃねーの?」
「……行けば分かる。とにかく、下の名前を聞くくらい図々しいヒトがいるかもしれぬ。何か考えておけ。漢字で書けそうな名前をな」
 アルセウスは、事もあろうか超高密度の人の塊に突き進んでいく。見失ったら最後、見付けられる自信がない。この人ごみの中をはぐれずに突き進む自信もあまりないが。
 それにしても、この世界の人は、背が低いのだろうか? 何となく自分の視点が高くなったような錯覚を覚えた。

 正直、この話はあまりにも世界観の根底に係わりすぎる問題だから、今から書くのはただの一説。
 というか、木菟の世界では、こうなってるかもしれない、くらいの。

・ポケモンの本質は電子…というか、情報生命体。
・どこかのマッドサイエンティストの暴走で、現実世界にも飛び出した。
・飛び出したポケモン達の暴走で、人間の文明は一度滅びた。
・文明が滅びてしまっているので、そこから文明を作り直した人間は、情報化できる動物をポケモンと認識した。ある意味、真逆の解釈である。
・神話の世界でポケモン達が神にも等しい存在として描かれているのは、そういう意味で仕方ない。彼等はいきなり飛び出してきて、暴走して、人間の文明を滅ぼしてしまったわけだから。そこから歴史が作り直されたわけだから。言わば、文明の暗黒期の物語なのである。
・普通の動物は、元々がそうでないがために、情報化できない。
・無機物は情報化できたが、生命を情報化するにはまだ技術は追い付いていない。追い付いていないし、倫理的な問題も解決されねばならないだろう。マトリクス的な世界にならない為にも。
・野生ポケモンが無限に飛び出してくるのは、コンピューターウイルスみたいに自己増殖した情報が溢れだしてくるから。倒しても死体が残らないのは、単純に実体化する機能が維持できなくなって情報の海に戻ったから。

 さて、実は、こういう説を打ち立てると矛盾する出来事がある。それが以下。
・どこぞのジムでワープ装置が使われている事。
・ワープの原理はどう考えれば良いのだろう。人間ですら、一瞬情報化されている事の表れだとは思えないか?

 そこで、以前書いた、マトリクス的世界観になってしまうのである。
・情報と物質の壁は破壊されている。

 …まぁ、これはまだまだ考察の余地がありますけどね~。取り敢えず、忘れないうちに、メモだけはしておきますですよ。

・珠姫さんとのコラボ的な話では兄がいっぱいいる。
・そこから派生したネタは、コラボカテゴリに放り込む。ので、ここではこれ以上書かない。

・逆に木菟が単体でネタを使ってる時は、兄はジムリーダーのグリーン一人。
・リオンは研究者肌かもしれない。いわゆるシゲルポジション?アニメ見てないから何とも言えないけど←
・兄が微妙に黒歴史引きずってたりしたら、振り回されていそうだ。
・ある意味半オリキャラになるので、へたれてしまっても言い訳できる←
・グリーンの瞳の色は、未定。よく緑色設定の所を見掛けるし、それくらいしないと外見的見分けがつかないだろうなぁとも思うけど、公式では緑じゃないのも確かだし。
・リオンの瞳の色は榛色だよ!

 …また何かあれば追記するか記事を書く、かも。

 本日の姉弟の会話にて。

弟「俺、FR・LGのグリーンさんの姿ならばっちり覚えてるで」
姉「エンディングでズダーっと走っていくやつ?」
弟「いやいやいや!ちゃんと、チャンピオン戦のカットイン…はあったか覚えてへんけど、ドット絵は覚えてんで!?」
姉「ふーん……」
弟「エンディングはあれやんな。グリーンが走っていって、主人公とオーキド博士が『やれやれ』って感じになって、歩いていくん。で、あの後、歩いて帰ったみたいな演出になっとるけど…まさかオーキド博士も歩いて帰ったんかな」
姉「ん?」
弟「あのまままっすぐ行ったら、こうグネ~と曲がってチャンピオンロードやけど、まさかあのご老体がチャンピオンロードを歩いて帰ったとか…」
姉「オーキド博士は一応、元トレーナーらしいけどなぁ。あ」
弟「何?」
姉「もしかしたら、グリーン慰めに行ったんじゃね?」
弟「ちょ、あれですか。角を曲がったらグリーンさんが膝抱えて落ち込んでる訳ですか!」
姉「ん」
弟「マジか!ちょ、それ誰かやんねーかな」
姉「んー。姉ぃはできるっちゃあできるけど……」

 …我が家の設定とは微妙に外れてしまうのですが、いつか言い出しっぺの法則に従ってやらかすかもしれません(爆)

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