ポケモンH.G.トリップもののメモ帳。
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※設定捏造注意!
ミハルがリビングのソファーに座って動かす指先を、ウタタはジッと見詰めていた。
ミハルの手先は、とっても器用だ。彼はその魔法の手で、何でも作ってしまう。少なくともウタタはそう思っている。
現在彼は、ビーズアクセサリーを作っているようだった。細い糸に通された小さなビーズが複雑に編まれていく様は、見事と言うしかなかった。
「……おっと」
ミハルが声を上げる。糸に通しそびれたビーズが、ウタタの方に転がって。
「あ」
たった一粒の小さなビーズを拾おうと伸ばされた二人の指先が、触れ合った。
「ありがとね、サエちゃん」
ミハルはにこりと微笑んで、ウタタが拾い上げたビーズを受け取る。再び触れ合う指先。
「ど、どういたしまして」
ウタタは何とか笑顔を返し、自分の体に手を引き戻すと、それをもう片方の手で包んだ。
触れた指先がやけどしそうで
ああ、何だか指先だけじゃなくて、顔まで熱くなってきた。
ミハルがリビングのソファーに座って動かす指先を、ウタタはジッと見詰めていた。
ミハルの手先は、とっても器用だ。彼はその魔法の手で、何でも作ってしまう。少なくともウタタはそう思っている。
現在彼は、ビーズアクセサリーを作っているようだった。細い糸に通された小さなビーズが複雑に編まれていく様は、見事と言うしかなかった。
「……おっと」
ミハルが声を上げる。糸に通しそびれたビーズが、ウタタの方に転がって。
「あ」
たった一粒の小さなビーズを拾おうと伸ばされた二人の指先が、触れ合った。
「ありがとね、サエちゃん」
ミハルはにこりと微笑んで、ウタタが拾い上げたビーズを受け取る。再び触れ合う指先。
「ど、どういたしまして」
ウタタは何とか笑顔を返し、自分の体に手を引き戻すと、それをもう片方の手で包んだ。
触れた指先がやけどしそうで
ああ、何だか指先だけじゃなくて、顔まで熱くなってきた。
お題配布元:転寝Lamp
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「……ちゃん。……しいの、サエちゃん?」
どこか気遣うような優しい声に、ウタタがふと目を覚ますと、視界いっぱいに広がる心配そうなミハルの顔。
頬に感じる温かさは、彼の体温だろうか。そう、彼の指が、頬に触れている。
「あ……。ミハルさん?」
「どうしたの? 悲しい夢を見た?」
「悲しい、夢……?」
呟いて首を傾げると、目尻からポロリと零れる涙。
「あ、また零れちゃった……」
ミハルはそう言い、そっと涙を拭ってくれる。
どうやら自分は、眠りながら泣いていたらしい、とウタタは理解した。
「あのね……、懐かしい、夢を見たの」
父がいて、母がいて、友達がいて。でもポケモンのいない、懐かしい世界の何気ない日常の夢。誇りを守るために手放した故郷。
「こんな夢……暫く、見てなかったのに。何で今更……」
ミハルはウタタが口を噤んだのを確認してから、そっと口を開いた。
「思い出しても……振り返っても良いって、サエちゃんの心が感じたからじゃないかな?」
「振り返っても、いい?」
「うん。もう振り返っても痛くないかもって、思ったんだよ」
心に余裕がなければ、思い出しても辛いだけの事は、振り返れないものだから。
「そっかな……。でもね、それだったら」
「ん?」
「やっぱり一人じゃ辛いよ。私がここまで来れたのは、私一人の力じゃないもの」
目を潤ませながら言うウタタに、ミハルは優しく笑いかけた。
「大丈夫だよ。僕がついててあげるから。……それとも、僕じゃ不安?」
「だ、誰もそんな事……!」
「じゃ、もう大丈夫だね」
わしゃわしゃと頭を撫でられて、ウタタは顔を赤くした。
追憶
独りじゃないから、きっと大丈夫。
どこか気遣うような優しい声に、ウタタがふと目を覚ますと、視界いっぱいに広がる心配そうなミハルの顔。
頬に感じる温かさは、彼の体温だろうか。そう、彼の指が、頬に触れている。
「あ……。ミハルさん?」
「どうしたの? 悲しい夢を見た?」
「悲しい、夢……?」
呟いて首を傾げると、目尻からポロリと零れる涙。
「あ、また零れちゃった……」
ミハルはそう言い、そっと涙を拭ってくれる。
どうやら自分は、眠りながら泣いていたらしい、とウタタは理解した。
「あのね……、懐かしい、夢を見たの」
父がいて、母がいて、友達がいて。でもポケモンのいない、懐かしい世界の何気ない日常の夢。誇りを守るために手放した故郷。
「こんな夢……暫く、見てなかったのに。何で今更……」
ミハルはウタタが口を噤んだのを確認してから、そっと口を開いた。
「思い出しても……振り返っても良いって、サエちゃんの心が感じたからじゃないかな?」
「振り返っても、いい?」
「うん。もう振り返っても痛くないかもって、思ったんだよ」
心に余裕がなければ、思い出しても辛いだけの事は、振り返れないものだから。
「そっかな……。でもね、それだったら」
「ん?」
「やっぱり一人じゃ辛いよ。私がここまで来れたのは、私一人の力じゃないもの」
目を潤ませながら言うウタタに、ミハルは優しく笑いかけた。
「大丈夫だよ。僕がついててあげるから。……それとも、僕じゃ不安?」
「だ、誰もそんな事……!」
「じゃ、もう大丈夫だね」
わしゃわしゃと頭を撫でられて、ウタタは顔を赤くした。
追憶
独りじゃないから、きっと大丈夫。