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ポケモンH.G.トリップもののメモ帳。
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 最近、ウタタがミハルといちゃいちゃしているのを見る度に、ミレイは何だか胸が苦しくなるのだ。

 別にミハルに恋しているわけではない。ミレイが好きなのは、寂しがり屋なのに強がってしまう、トキワのジムリーダーだ。
 ウタタもミハルもイッシュ地方に来ているから、ミレイもイッシュにいる今は、この場にはいないけれども。

 ミレイもイッシュにいるから、グリーンの事を思い出して寂しくなって胸が苦しい訳でもない。
 ミレイがイッシュに来ているのは、カントーやジョウトで彼女が眠っている時だけだ。目を覚ませば、いつだって、逢いに行ける。

 問題は、ミレイが、夢の中であちこちに行けてしまう事だ。そして、イッシュで、それに科学的根拠が出されてしまったことだ。
 少なくともイッシュに来ているミレイは、人間ではない。「夢のけむり」と呼ばれる超常物質なのである。「夢のけむり」は、ムンナやムシャーナといったポケモンが出す物質で、夢を現実に持ち出す作用があるのだ。
 ポケモンが出す筈の「夢のけむり」を、何故ポケモンもいない世界から来たミレイが操れるのか? そして、ムンナやムシャーナがいる、理論的には材料に恵まれたイッシュにおいてその濃度が薄いのは、何故?
 ポケモンのいない、元いた世界に。ミスズが未だに生きているのは、どうして……?

 「夢のけむり」の研究の第一人者であるマコモと二人で考えた仮説は、空恐ろしくて。
 検証するにはミレイ本人が実際に直接イッシュに行かないといけないけれども、仮説を認めたくなくて。

 もし、その仮説が正しければ。
 ミレイは、カントーやジョウトで活動している彼女も、人間ではない。
 美鈴が見た、夢。

 人間ではない、「夢のけむり」にしか過ぎない存在は、果たして誰かと結婚して、そして子供を授かる事が出来るのだろうか。
 そして、もし子供が授かってしまった場合。その子供は……?

 深く考えすぎているだけなのかもしれない。
 あくまでも、ただの仮説だ。

 なのに、イッシュに来てウタタとミハルが将来の話をしたりしていると、ミレイは胸が苦しくなるのだ。




 実際には、その仮説は限りなく正しい……

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 ぶっちゃけて、まさかミレイの家族からそう言われるとは思っていなかった。
「連れ帰る? ……トキワにか?」
「他にどこに連れ帰れっつーんですか。嫌ですか?」
「嫌じゃねーよ!」
 そこは即答できる。しかし、何でまた……?
「良い事教えてあげましょうか。実はですね」
 ミレイの弟は、姉を見た。
「姉がいなくなって、帰ってきた事。俺とあと二人しか、気付かなかったんですよ。しかもその二人だって、多分俺と同じ事言うと思います。是非とも連れ去ってしまえってね」
 ウタタも攫ってこいとか言うし、本当にどうなってるんだ。
「そのうちの一人には、グリーンさんも会った事と思うんですよね。ウタタっていう名前で登録してるトレーナーさんらしいんですけど。うちの姉がいなくなる前に音信不通になってて、やっと会えたって姉が喜んでましたから。ちなみにもう一人もネット上の知り合いらしいですね」
「は? ……お前んちの両親は? いないのか?」
「や、いるっちゃいるんですけど、気付きませんでした。いや、姉が帰って来た事、残念がってるかな。『姉』がいなくなった後も、姉の『影』が残っていたんです。とても几帳面で真面目で、遊びなどクダラナイと考える勉強一筋の影が。夢を持たない、人形のような……。でも、成績は上がったんで、親は喜んでましたよ。そこへ姉が帰ってきて……分かりますよね?」
 できれば分かりたくない。考えたくない、そんな事。
「じゃあ、友達はどうなんだよ?」
「姉は元々、自称引き篭もり族ですよ? 親しい友達、そんなにいなかったんじゃないですか。そっちに行ってからの姉は会うたんびに賑やかになっていってたし、きっとそっちでは友達ができたんでしょ?」
 聞けば聞くほどミレイがこの世界では幸せではないかのように聞こえてくるのは、こいつの話し方のせいなのか?
「帰ってきてからの姉、見てらんなかったです。夜な夜な部屋に引き篭もって、泣きじゃくって。影に合わせようとしてできもしない無茶して、フラフラんなって。やっと最近落ち着いてきたと思ったら、ゆうべ何か夢を見たとかで、また朝見たらドンヨリしてるし。だから気晴らしにっつってポケセン連れ出してきたんですけどね」
 反対側から引っ張られた気がして弟からその姉へと視線を移すと、ミレイがオレの服の袖をギュッと握りしめていた。それがまるで、「もう離さないで」と訴えかけているようで。
「なぁ。こいつ、わざわざオレの記憶いじってから帰ったんだぞ」
「変な所で繊細なんですよね~。巻き込みたくなかった、悩んでほしくなかったって、本人は言ってましたけど。俺からすれば、ばっかじゃねーの? ってなもんやさんですよ」
「だよなぁ。オレも見くびられたもんだ」
 こうなったら、本気で連れ帰る事を検討してやる。
「んじゃ、まずはアルセウスに聞いてみて……」
「あ、それはさっき聞きました。問題なし、と」
「……お前……図ったな?」

 ポケモンセンターから再び人混みを掻い潜り、駅へと案内してもらう。
 心に余裕が出てきたからだろうか、今では周りを観察する余裕もできた。ポケモンセンターから駅に向かうまでの道は若者をターゲットとする店が立ち並び、同じ年頃の男女で溢れ返っているのだが。
「なぁ、ミレイ」
「ん?」
「こっちの人間は、お前に限らず腕が細いな! マトモにボール投げれねーんじゃないの?」
 ミレイはきょと、と首を傾げ。
「だって、投げる必要性もあらへんやん」
 至極まっとうに、指摘した。
 ボールを日常的に投げる必要性なんて、ない。何故なら、ここには……。
「あ……。そっか、そうだったな」
 成程、こういう些細な点でも、変わってくるものなのか。ポケモンがいないという事は。
 ミレイの斜め前を歩くミレイの弟なんか、本当に細い。そして、高い。
「ま、むぅみたいなんはそれでも痩せすぎやけど。こういうのをモヤシという。身長だけしかないんよね。何ぼやっけ? 172?」
「ちゃうし。180はあったと思う」
「ほら。リィちゃんは今なんぼやろなー。わたしが164あって相変わらずの身長差やから、170はあるやろうけど」
 確か、オレが知るミレイの身長は160cmそこそこで、オレも170cmには到達していない筈だった。まさかあっさり170cmの壁を突破する日が来るとは……。
 ……複雑な気分だ。
「ほな、わたしは定期あるし……わたしがこん二人の電車代出せば電車代ちょうど半分ずつやな?」
「だな。俺は帰りも自分で出すわ」
「あんがとー。ってか、珍しいよね」
 ミレイは弟の肩に掛けられた鞄を軽く握った。
「うち来る? なんて言うのはわたしじゃなかったっけ? んで、むぅちゃんが呆れてなかったっけ?」
「失敬な。俺かて友達呼んできてるっつの」
「うーん……」
 相変わらず微妙な顔の姉を振り返り、弟は苦笑した。
「眠いから、思い出せないんやろ? 電車の席確保したら、寝ーや」
「えっ、寝んの!? 今わたしテンション高いのに!?」
「つーか、寝ろ」
「命令形!? むすけ酷す!」
 そんな仲の良い会話を繰り広げつつ、二人は切符を買った。
 この世界のお金が、また興味深かった。硬貨や紙幣なんて、実際に使われているのを見るのは初めてだ。
 渡された切符で改札を通り、これまた殺人的に人口密度の高い電車に乗り込み……この混雑の中でどういう魔法を使えばそうなったのか、ミレイはちゃっかりと彼女のみならず俺の分の座席まで確保なんかしていて。
 リニアよりも揺れる電車が動き出すと、ミレイはコックリこっくり舟を漕ぎ始めた。眠いのだという弟の言葉は正しかったらしい。
 彼女がもたれかかって来たのをそのままにさせながら見上げれば、まだ座席を取れずに前に立っているミレイの弟とアルセウスが、何やら深刻な表情でぼそぼそと何事かを相談していた。
「グリーンさん」
 何駅か過ぎて、人が減った頃。逆隣りに座席を確保したミレイの弟が、真剣な顔で話し掛けてきた。
「グリーンさんは、姉を追いかけてこっちまで来たんですよね?」
「追いかけてっつーか……まぁ、結果的にそうなるかもな」
「姉の事、好きですか」
 彼は真剣だった。だから、オレも、退けなかった。
「ああ。好きだ」
「本当に? 姉の人生に責任持てるくらいに? こう言っちゃなんですが、グリーンさんモテモテでしょう」
「遊びで好きになったんじゃねーよ」
 オレの返事を聞くと、彼は表情を緩ませた。
「それならお願いがあるんです。姉を、連れ帰ってやってくれませんか」

・リニアを使ってコガネ→自然公園→ポケスロン→アサギ→バトルフロンティア
・子供たちはリニアで帰る。トレーナー以上はチャンピオンゲート経由でペンディング。
・子供たちはステージの観客またはバトルファクトリー
・トレーナー以上は普通に様々な施設に挑戦

・既にミレイは一回目のクロツグさん撃破済み=顔見知り
・コガネ経由だったりバトルフロンティアが舞台だったりするのは、元来トレーナーの研修旅行であるから。
・コガネには百貨店とゲーセンがある→技マシンの入手可能。
・ポケスロンでは体力つけたり貴重なアイテム稼げたりする。
・バトルフロンティアは…まぁ言わずもがな。
・まだトレーナーになってない子でも、ステージ見学すればポケモン見れるし。
・まだ(ry、バトルファクトリーならポケモン借りれるし←
・チャンピオンゲート経由で帰れたら、リニア代出さなくてもジョウトに通えるようになるのになー。でもペンディング。

「……あ、そうなんや」
 ミレイが何を言ったのか、青年は気が抜けたように返事した。
「でも、俺が聞いてたんと歳違うけど?」
「そこは、わたしっちゅう前例あるし」
「そっけ。あ、ねーちゃん先飲む? 水やけど」
 青年は持っていたペットボトルをミレイに渡すと、オレに軽く頭を下げた。
「何か勘違いしてたみたいですんません。弟です。姉が超お世話になったそうで」
「あ、ああ。でも、何て呼べば良いんだ?」
「そーですねー」
 ミレイの弟は、腕を組んだ。
「はね、とか、とり、とか。もしくはオウムとか」
「オウムやからむぅちゃんね。ちなみに本名は満」
「こらねーちゃん。人のプライバシー勝手にばらすなし」
「更にちなみにわたしはここではミスズです」
「いや、そーゆー問題じゃねーし」
 姉弟はポンポンとテンポ良く喋る。
「えーと、で、リィさんも、よくこんな所来ましたねー。っていうか、来れましたね」
「ああ。アル……じゃなくて、碓井に連れてきてもらった」
 二人は顔を見合わせた。
「……どう考えてもアルセウスやよね」
「どー考えてもアルセウスだな」
「リィちゃん、その、えーっと……」
「碓井さん」
「サンクスむぅ。碓井さんは、どこにおんの? 呼んでこなくてええん?」
 そういえば、彼は今、どこにいるのだろう。まだ店内にいるのだろうか。
「会えたようだな」
 あまりにもタイミング良く、背後からアルセウスの声が聞こえてきて、危うく飛び上がりそうになった。
「リィちゃんを成長させたのは碓井さんですか?」
 ミレイがごく普通の調子で尋ねている。
「ああ。ウタタがそう頼んできた。身長的にも外見年齢的にも釣り合わせた方が良いだろう、とな」
「そーいやターちゃんとはオフ会やった事ありました……」
 苦笑いする姉を後目に、弟も口を開く。
「俺も一つ聞いて良いですか。ここには、どれくらいいるつもりなんですか? まさか、即帰ったりしませんよね?」
「ふむ。目的は達成したし、あまり長居するつもりはないのだが」
 アルセウスに対して、彼は淡々と続けた。
「じゃあ、一旦うちに遊びに来ます? 今日ならちょうど、親も出掛けてるんで」

「へー。幽霊? でも、それは、今の段階では単なる噂の域を出ない。そうだろう?」
 最近、サンヨウシティには幽霊が出没するらしい。
 何でも、まだ年若い、少女のような幽霊だそうだ。
 噂を聞いたマキナは、至って普通に、そう返した。
「実際に会って調べてみない事には、何とも言えないのではないかな?」

「……おや」
 他人にはあまり係わろうとしないマキナだが、流石に目の前の出来事は、彼女の目にも少し奇妙に映った。
 居候している先、マコモの住むアパートから、今まで見た事のない少女が出てきたのだ。
 しかも、物音一つ……扉の音さえさせずに。
 少女は、フラフラとどこか覚束ない足取りで歩いていく。
「尾けてみるかな?」
 怪しさ大爆発の見慣れぬ不思議な少女は、何となく人間的な「何か」に欠けているように思えて、それがいたくマキナの気を惹いた。
 黒いニットの上着に、黒い短めのスカート。ハイソックスも、靴も黒い。そんな、黒っぽい服を着た少女は、そのいかにも女の子らしい服装に反して、全くの手ぶらであった。そして、服から覗く細い左手首には、服装とはこれまたそぐわない、ごつい機械が嵌められていた。
 少女は彷徨う。フラフラと。
 やがて彼女は、出てきたのとはまた別の家、マキナが空き家と認識していたそこに、ノックも何もせずに、フラフラと、物音一つ立てる事なく入っていった。
 マキナは少し離れた所から空き家を観察した。
 だが、いつまで経っても、家に電気の点く様子はない。それどころか、音一つしない。
 窓から中を覗き込んでも、誰もいない。ついに踏み込んでみたが、そこはやはり、人の気配などない空き家だった。入って行った筈の少女は影も形もなく。
「ふむ。つまり、彼女が噂の『幽霊』か」
 マキナは、ライブキャスターの録画停止ボタンを押した。
 傍から見れば、それはおかしな光景だったであろう。フラフラ歩く不審者が二人、一人は本当にフラフラと、一人はもう一人をライブキャスターに撮りながら、街を徘徊していたのだから。

「おかえり、どうだった?」
 マコモは、部屋に唐突に現れた『幽霊』に話し掛けた。
「まだ疲れます……」
 ミレイは、ヘロヘロという形容が似合いそうな口調で答える。
「っていうか、やっぱり途中で実体までは維持できなくなって、薄らいじゃいますね……。何か、今頃はこの街で幽霊の噂が立ってるんじゃないかって心配ですよ……。街に出なきゃいけませんか?」
「知らない場所にも行けるようにするのが目標なのよ!」
「……さいですか……。今日はもう集中力切れたんで、帰りますね」
 ミレイは左手の腕輪からごつい機械を外すと、それをマコモに渡した。
「お疲れ様! また明日までに、調整しておくね」
「できればそれももうちょっとスリムにして下さい……」
 機械から手を話した瞬間、ミレイの姿は掻き消える。
「あらら。今日はよっぽどお疲れなのね。無理させすぎちゃったかしら」
 マコモは呑気に呟くと、鼻歌を歌いながらラボに向かった。

「……ん?」
 珠姫を追ってイッシュに来ていたシャオは、街道から少し離れた草むらの奥に、見覚えのある相手を見付けた。
「ミレイちゃん? あれ、あいつもイッシュに来てたのか?」
 シャオが首を傾げたくなるのも無理はない。
 イッシュに来るほんの少し前、シャオはカントーでミレイを見掛け、喋った。
 その時の彼女は、イッシュに行くのにそこまで乗り気でなかったと思うのだ。
『んー……。でも、ポケモン連れていけないんですよね?』
『リィちゃんも、カントー離れるわけにもいかないでしょうし』
 だが、木々の向こうに見える、黒いニットの上着に黒いスカート、黒いハイソックスの少女は、ミレイにそっくりだ。
 取り敢えず声を掛けてみれば分かる事かと、少女に向かって一歩踏み出そうとしたシャオを、引き留める手がある。
「瑠幽。どうした?」
「マスター。『アレ』は……『何』?」
 プルリルの化身はそう言うと、長い髪を一瞬ぶるりと揺らした。
「……『アレ』?」
 瑠幽を振り返り、シャオはその言葉の意味を考える。
 彼女の口ぶりだと、そこにいる少女はまるで……。
 再び視線を向けた時、そこには既に少女の姿はなかった。
 音一つ立てずに、まるで最初からいなかったかのように。




 それは果たして夢だったのだろうか?

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