ポケモンH.G.トリップもののメモ帳。
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「ねぇねぇ、眠り姫って童話知ってる?」
ミレイがそんな事を言い出したのが、夢渡りをした先のイッシュの研究に乗せられてやろうと決めた、その夜の事。
「知ってるんなら、それで良いや。わたし、そこに鍵を託して出掛けっから!」
その鍵を使わないといけない事態になるとは、その時は彼女は考えていなかったのだろう。
ミレイが目を覚まさなくなって、数日が過ぎた。
イッシュでの冒険は、そこまで心躍るものだったのだろうか。それなら、いっそ遠距離恋愛になるのを承知で、海を渡ってしまえば良かったものを。
残されたこちらの身にも、なれって事だよこんちくしょう。心配になるじゃねーか。
ぼんやりと、人形みたいに生気のない彼女の寝顔をぼんやり眺めていたら、携帯が鳴る。
ポケギアではなく、携帯が。番号は……ミレイの弟。
「もしもし」
『もしもし、グリーンさん!?』
電話の向こうの声は、何だか切羽詰っていた。背後で聞こえる音は、街行く人のざわめきではなく、激しいポケモン達の鳴き声。
『どんな手段使っても許すんで、姉を叩き起こしてください! プラズマ団に操られちゃってて、精神崩壊起こしそうなんです!!』
「何だって!?」
つまり、帰ってこなかったのではなく、帰れなくなっていた……?
慌ててすぐそこに眠っているミレイを揺さぶる。頬を軽く叩いてみる。
……反応しない。
「おい、ミレイ! 起きろ!」
激しく肩を揺さぶっても、相変わらず反応はなし。
「起きねーぞ!?」
『何か、鍵はグリーンさんに託したとか言ってたんですけど……! 早く起こさないと、せっかく時間を稼いでもらってるのに』
「鍵だぁ!? 眠り姫って童話を知ってるかって……まさか!」
『……そのまさか、ですね』
緊迫した状況の筈なのに、オレとミレイの弟との間に、何とも言えない空気が共有された。
『……白雪姫じゃないだけマシだと思って諦めて下さい……。姉には、後で俺からもうんと文句言っておきますんで』
「どーしてこういう時だけ大胆な事しかけやがるんだ……!」
ミレイがそんな事を言い出したのが、夢渡りをした先のイッシュの研究に乗せられてやろうと決めた、その夜の事。
「知ってるんなら、それで良いや。わたし、そこに鍵を託して出掛けっから!」
その鍵を使わないといけない事態になるとは、その時は彼女は考えていなかったのだろう。
ミレイが目を覚まさなくなって、数日が過ぎた。
イッシュでの冒険は、そこまで心躍るものだったのだろうか。それなら、いっそ遠距離恋愛になるのを承知で、海を渡ってしまえば良かったものを。
残されたこちらの身にも、なれって事だよこんちくしょう。心配になるじゃねーか。
ぼんやりと、人形みたいに生気のない彼女の寝顔をぼんやり眺めていたら、携帯が鳴る。
ポケギアではなく、携帯が。番号は……ミレイの弟。
「もしもし」
『もしもし、グリーンさん!?』
電話の向こうの声は、何だか切羽詰っていた。背後で聞こえる音は、街行く人のざわめきではなく、激しいポケモン達の鳴き声。
『どんな手段使っても許すんで、姉を叩き起こしてください! プラズマ団に操られちゃってて、精神崩壊起こしそうなんです!!』
「何だって!?」
つまり、帰ってこなかったのではなく、帰れなくなっていた……?
慌ててすぐそこに眠っているミレイを揺さぶる。頬を軽く叩いてみる。
……反応しない。
「おい、ミレイ! 起きろ!」
激しく肩を揺さぶっても、相変わらず反応はなし。
「起きねーぞ!?」
『何か、鍵はグリーンさんに託したとか言ってたんですけど……! 早く起こさないと、せっかく時間を稼いでもらってるのに』
「鍵だぁ!? 眠り姫って童話を知ってるかって……まさか!」
『……そのまさか、ですね』
緊迫した状況の筈なのに、オレとミレイの弟との間に、何とも言えない空気が共有された。
『……白雪姫じゃないだけマシだと思って諦めて下さい……。姉には、後で俺からもうんと文句言っておきますんで』
「どーしてこういう時だけ大胆な事しかけやがるんだ……!」
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