ポケモンH.G.トリップもののメモ帳。
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まさかポケモンセンターに行くだけで、こんなに消耗するとは思わなかった。
人は多いし、車が規制されずにすぐ近くを走っていて危ない。信号とやらがあるようでも、それを無視する人の多い事!
道行く人々の顔は何となく暗いか、薄っぺらい明るさを不自然に貼り付けたような印象で、何となく歪だ。
やっと辿り着いたポケモンセンターは、トレードマークである筈の赤い屋根は持たず、むしろどこかのフレンドリィショップのような雰囲気を醸し出していた。
足を踏み入れて確信する。ああ、本当に、ここは店だ。ポケモングッズが棚に並び、親子連れや若いカップルがそこここに溢れている。
ふと目に留まったのは、本棚。そこに並べられた本。
『ポケットモンスター完全クリアガイド』
『カントー攻略&全国図鑑完成はこの一冊で!』
飛び込んできた文字はあまりに衝撃的で、一瞬、何の事だろうかと思った。
サンプル、とシールのついているものを手に取る。頭のどこかでは大きく警鐘が鳴り響いていたけれど、震える手は勝手に中を読むべくページを繰っていた。
『ポケモンの存在は、……おとぎ話のようなものだから』
何故、ウタタが一瞬言いよどんでいたのか、ようやく分かった。
この世界では、ポケモンは実在しない。ゲームの中の架空の存在であり、当然自分も……。
「あ、あの……!」
呆然としていた所に、声を掛けられる。
振り向くと、小さな箱型の機械を持った人々が、どよめいた。
「うわー、超そっくり!」
「レイヤーだって普通ここまで似ないだろ!」
「これは絶対写メらなきゃ損だよ」
パシャパシャと、こっちに何の説明もなく、彼等は小型の機械……恐らくはこの世界のカメラで、写真を撮ってくる。そんな声の向こうから、遠巻きに見ているであろうカップルの会話も聞こえてきた。
「何か向こうで人集まってんで? グリーンさんに似てる人がおるんやって。見に行かへん?」
「……ええわぁ。わたしは行かへん。今、グリーンさんにそっくりな人なんて、見たってしゃーない」
「会いたいんじゃねーの? 今だって、揃えようとしてんの、彼の手持ちやろ」
「そりゃあ逢いたいけど、そっくりさんに会ったって虚しいだけやん。わたしが逢いたいのは、リィちゃんだけやの」
「そういうもんか……。んじゃ、一旦、外出てよか。俺、そこのコンビニで何か飲むもん買ってくるわ」
「むぅが自分から何か買いに行くなんて珍しいな。分かった。そこで座って待ってる」
思い焦がれたその声は、聞き慣れた固有名詞をあっさりと紡ぐ。
背の高い青年と、青年に連れられた女性が店を出ていくのが人垣の向こうに見えた。
人は多いし、車が規制されずにすぐ近くを走っていて危ない。信号とやらがあるようでも、それを無視する人の多い事!
道行く人々の顔は何となく暗いか、薄っぺらい明るさを不自然に貼り付けたような印象で、何となく歪だ。
やっと辿り着いたポケモンセンターは、トレードマークである筈の赤い屋根は持たず、むしろどこかのフレンドリィショップのような雰囲気を醸し出していた。
足を踏み入れて確信する。ああ、本当に、ここは店だ。ポケモングッズが棚に並び、親子連れや若いカップルがそこここに溢れている。
ふと目に留まったのは、本棚。そこに並べられた本。
『ポケットモンスター完全クリアガイド』
『カントー攻略&全国図鑑完成はこの一冊で!』
飛び込んできた文字はあまりに衝撃的で、一瞬、何の事だろうかと思った。
サンプル、とシールのついているものを手に取る。頭のどこかでは大きく警鐘が鳴り響いていたけれど、震える手は勝手に中を読むべくページを繰っていた。
『ポケモンの存在は、……おとぎ話のようなものだから』
何故、ウタタが一瞬言いよどんでいたのか、ようやく分かった。
この世界では、ポケモンは実在しない。ゲームの中の架空の存在であり、当然自分も……。
「あ、あの……!」
呆然としていた所に、声を掛けられる。
振り向くと、小さな箱型の機械を持った人々が、どよめいた。
「うわー、超そっくり!」
「レイヤーだって普通ここまで似ないだろ!」
「これは絶対写メらなきゃ損だよ」
パシャパシャと、こっちに何の説明もなく、彼等は小型の機械……恐らくはこの世界のカメラで、写真を撮ってくる。そんな声の向こうから、遠巻きに見ているであろうカップルの会話も聞こえてきた。
「何か向こうで人集まってんで? グリーンさんに似てる人がおるんやって。見に行かへん?」
「……ええわぁ。わたしは行かへん。今、グリーンさんにそっくりな人なんて、見たってしゃーない」
「会いたいんじゃねーの? 今だって、揃えようとしてんの、彼の手持ちやろ」
「そりゃあ逢いたいけど、そっくりさんに会ったって虚しいだけやん。わたしが逢いたいのは、リィちゃんだけやの」
「そういうもんか……。んじゃ、一旦、外出てよか。俺、そこのコンビニで何か飲むもん買ってくるわ」
「むぅが自分から何か買いに行くなんて珍しいな。分かった。そこで座って待ってる」
思い焦がれたその声は、聞き慣れた固有名詞をあっさりと紡ぐ。
背の高い青年と、青年に連れられた女性が店を出ていくのが人垣の向こうに見えた。
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