ポケモンH.G.トリップもののメモ帳。
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考え込めば考え込むほど頭が痛む。誰かがそれを拒んでいるかのように。
『諦めてしまえば良いのに』
誰かに囁かれた気がした。
『もういない人の事なんて、忘れてしまえば良いよ』
それは甘美な誘惑なのだろう。普通ならば。
「……それじゃ駄目なんだよっ!」
他には誰もいない筈のグレン島。誰かと会話をしているという自覚ができぬほどに、精神はギリギリで。
『向こうだって、忘れて欲しかったから、記憶を消したんでしょ?』
「それは向こうの勝手な都合だ! オレがそれを望んでたなんて在り得ねえ。絶対あいつは、何も言わずに決めやがったんだ。……レッドみたいにな」
ふと、虚しくなった。
「結局オレはいつも、置いてけぼりかよ」
『……そう言うだろうと思っていたから、わたしは可能な限りの対策を取らないといけなかった』
相手の声が、下がった。心なしか、口調も変わり。
『どうにもできない別れがあるなら、せめて、遺す傷口は小さくありたかった。ここでただ喋ってただけの、どうでも良いトレーナーの事なんかで、心を痛めさせたらいけないと思った』
「そういうのを余計なお世話って言うんだぜ。ったく、みてろよ。記憶を取り戻したら、絶対に一発ぶん殴りに行ってやるからな!」
『……』
声無き声が、笑った気配がした。
『……まったく、リィちゃんには敵わへんね……』
その瞬間の感覚は、どう説明すれば良いのだろう。まるで突風が吹き荒れたかのような、衝撃と爽快感。それは心の奥の靄も、頭痛すらも吹き飛ばし。
「ミレイ……?」
周りを見渡せど、誰もいない。けれど彼女は確かに負けを認めて、記憶は取り戻された。
改めてワタルから送られてきた写真を見る。今度はピンボケも文字化けもなく、普通の殿堂入りの画面がそこにはあった。強いて違和感のある点を挙げるとすれば、彼女の手持ちだろうか。ミロカロスやエーフィを連れている事の多かった筈の元ジョウトチャンピオンの手持ちに代わりに入っていたのは、紅いギャラドスとトゲキッス。
もしミロカロスやエーフィが手持ちに入っていれば、記憶がないなりに何かを感じる事はできただろうか。今となっては、確かめようのない事だ。
『諦めてしまえば良いのに』
誰かに囁かれた気がした。
『もういない人の事なんて、忘れてしまえば良いよ』
それは甘美な誘惑なのだろう。普通ならば。
「……それじゃ駄目なんだよっ!」
他には誰もいない筈のグレン島。誰かと会話をしているという自覚ができぬほどに、精神はギリギリで。
『向こうだって、忘れて欲しかったから、記憶を消したんでしょ?』
「それは向こうの勝手な都合だ! オレがそれを望んでたなんて在り得ねえ。絶対あいつは、何も言わずに決めやがったんだ。……レッドみたいにな」
ふと、虚しくなった。
「結局オレはいつも、置いてけぼりかよ」
『……そう言うだろうと思っていたから、わたしは可能な限りの対策を取らないといけなかった』
相手の声が、下がった。心なしか、口調も変わり。
『どうにもできない別れがあるなら、せめて、遺す傷口は小さくありたかった。ここでただ喋ってただけの、どうでも良いトレーナーの事なんかで、心を痛めさせたらいけないと思った』
「そういうのを余計なお世話って言うんだぜ。ったく、みてろよ。記憶を取り戻したら、絶対に一発ぶん殴りに行ってやるからな!」
『……』
声無き声が、笑った気配がした。
『……まったく、リィちゃんには敵わへんね……』
その瞬間の感覚は、どう説明すれば良いのだろう。まるで突風が吹き荒れたかのような、衝撃と爽快感。それは心の奥の靄も、頭痛すらも吹き飛ばし。
「ミレイ……?」
周りを見渡せど、誰もいない。けれど彼女は確かに負けを認めて、記憶は取り戻された。
改めてワタルから送られてきた写真を見る。今度はピンボケも文字化けもなく、普通の殿堂入りの画面がそこにはあった。強いて違和感のある点を挙げるとすれば、彼女の手持ちだろうか。ミロカロスやエーフィを連れている事の多かった筈の元ジョウトチャンピオンの手持ちに代わりに入っていたのは、紅いギャラドスとトゲキッス。
もしミロカロスやエーフィが手持ちに入っていれば、記憶がないなりに何かを感じる事はできただろうか。今となっては、確かめようのない事だ。
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