ポケモンH.G.トリップもののメモ帳。
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(……マジに謎技術……)
トレーナーカードを作った時と全く同じ事を思いながら、ミレイは半分引きつった笑顔で帽子と鞄を受け取った。
パソコンの横に湧いた光から物体が出てくる現象には、まだ慣れられそうにない。
「ついでだからお小遣いもあげるよ」
ウツギ博士がパソコンを操作すると、ミレイのトレーナーカードから「ピロリン♪」と音が鳴った。慌ててジャンパースカートのポケットから出して見てみると、所持金の欄が3000円に増えている。
(ま、まさか……)
ミレイは考えた。
(究極の電子マネー!?)
すなわち、現金のない世界。
「あ……ありがとう、ございます」
「いやいや、せっかく出掛けるのならね。後は……念の為に、ポケギアを渡した方が良いかな。連絡をつけられるように」
博士はパソコンの前から立ち上がり、何やら機械の入った箱を持ってきた。
「……!」
「これとこれ以外……って、ミレイちゃん?」
箱の中を見て顔色を変えたミレイに、ウツギ博士は首を傾げる。
「これ……」
「ヒビキ君が、近くで拾ってきたんだ。ミレイちゃんのかい?」
ミレイは頷く。彼女が箱の中に見付けたのは、幾つかの見慣れない機械に埋もれる自身の携帯とノートパソコンだった。
「他に何もなかったみたいでしたか」
「うーん、何も聞いてないね。取り敢えず、君のなら返すよ」
「……はい」
箱に手を伸ばしかけ、ミレイは一度ギュッと目を瞑って目眩をやり過ごそうとする。
(――大丈夫、大丈夫、倒れない)
呪文のように心の中で繰り返し、意を決して思わぬ現実世界の機械を鞄にしまった。
「もう一個取って取って」
「え? ……もう一個? ですか?」
「そうだよ。元々、連絡をつけられるようにポケギアを渡そうとしてたんじゃないか。使い方はね……」
ウツギ博士は自らもポケギアを一つ取り出し、電話機能の使い方を説明した。
「分かったかい?」
「はい、多分……」
「ま、使ってみれば分かるよ。最後に、ポケモンじいさんの家の場所だね。ヨシノタウンの北で、ここからヨシノタウンまでは西に一本道だから……って、何か情けない顔してないかい?」
ウツギ博士の指摘通り、ミレイの表情は情けないものだった。彼女はよく知っている。自らの空間認知能力の低さを。
「できたら簡単な地図を描いて下さい……」
「大丈夫だよ。その辺の人に聞けば教えてくれるって」
勿論、ウツギ博士に言われなくてもミレイはそのつもりである。今まで何人の駅員さんやコンビニの店員さんや交番のお巡りさんやインフォメーションセンターのお姉さんにお世話になってきた事か。しかし、彼等に道を尋ねようにも、地図があるのとないのとでは大違いなのである。
よっぽど情けない顔だったのだろう。ウツギ博士は結局、メモに簡単な地図を描いてくれた。と言っても、単にLの字に毛の生えたような代物だったが。
ポケギアも鞄にしまうと、ミレイは地図を一旦小脇に抱え、帽子を被った。
「じゃあ、行ってきます」
ウツギ博士はにっこり笑って頷いた。
「うん、頼んだよ」
トレーナーカードを作った時と全く同じ事を思いながら、ミレイは半分引きつった笑顔で帽子と鞄を受け取った。
パソコンの横に湧いた光から物体が出てくる現象には、まだ慣れられそうにない。
「ついでだからお小遣いもあげるよ」
ウツギ博士がパソコンを操作すると、ミレイのトレーナーカードから「ピロリン♪」と音が鳴った。慌ててジャンパースカートのポケットから出して見てみると、所持金の欄が3000円に増えている。
(ま、まさか……)
ミレイは考えた。
(究極の電子マネー!?)
すなわち、現金のない世界。
「あ……ありがとう、ございます」
「いやいや、せっかく出掛けるのならね。後は……念の為に、ポケギアを渡した方が良いかな。連絡をつけられるように」
博士はパソコンの前から立ち上がり、何やら機械の入った箱を持ってきた。
「……!」
「これとこれ以外……って、ミレイちゃん?」
箱の中を見て顔色を変えたミレイに、ウツギ博士は首を傾げる。
「これ……」
「ヒビキ君が、近くで拾ってきたんだ。ミレイちゃんのかい?」
ミレイは頷く。彼女が箱の中に見付けたのは、幾つかの見慣れない機械に埋もれる自身の携帯とノートパソコンだった。
「他に何もなかったみたいでしたか」
「うーん、何も聞いてないね。取り敢えず、君のなら返すよ」
「……はい」
箱に手を伸ばしかけ、ミレイは一度ギュッと目を瞑って目眩をやり過ごそうとする。
(――大丈夫、大丈夫、倒れない)
呪文のように心の中で繰り返し、意を決して思わぬ現実世界の機械を鞄にしまった。
「もう一個取って取って」
「え? ……もう一個? ですか?」
「そうだよ。元々、連絡をつけられるようにポケギアを渡そうとしてたんじゃないか。使い方はね……」
ウツギ博士は自らもポケギアを一つ取り出し、電話機能の使い方を説明した。
「分かったかい?」
「はい、多分……」
「ま、使ってみれば分かるよ。最後に、ポケモンじいさんの家の場所だね。ヨシノタウンの北で、ここからヨシノタウンまでは西に一本道だから……って、何か情けない顔してないかい?」
ウツギ博士の指摘通り、ミレイの表情は情けないものだった。彼女はよく知っている。自らの空間認知能力の低さを。
「できたら簡単な地図を描いて下さい……」
「大丈夫だよ。その辺の人に聞けば教えてくれるって」
勿論、ウツギ博士に言われなくてもミレイはそのつもりである。今まで何人の駅員さんやコンビニの店員さんや交番のお巡りさんやインフォメーションセンターのお姉さんにお世話になってきた事か。しかし、彼等に道を尋ねようにも、地図があるのとないのとでは大違いなのである。
よっぽど情けない顔だったのだろう。ウツギ博士は結局、メモに簡単な地図を描いてくれた。と言っても、単にLの字に毛の生えたような代物だったが。
ポケギアも鞄にしまうと、ミレイは地図を一旦小脇に抱え、帽子を被った。
「じゃあ、行ってきます」
ウツギ博士はにっこり笑って頷いた。
「うん、頼んだよ」
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