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ポケモンH.G.トリップもののメモ帳。
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「ミレイちゃん、お早う。よく眠れたかい?」
 眼鏡を掛けた白衣姿の、細身でのっぽな青年が挨拶してきた。
 ミレイは、ぺこりと頭を下げる。
「お早うございます、ウツギ博士」
 あ~、非現実やな~、と、しみじみする数回目の瞬間である。
 この話を読みに来るような方なら既にピンと来ていると思うが、ウツギ博士はジョウト地方ワカバタウンに研究所を持つポケモンの研究者だ。普通ならまかり間違っても関西地方に住む一大学生が声を掛けられる存在ではない……それはもう、ありとあらゆる意味で。
 有り得ないと言えば……。
「そっちもお早う。今日も元気そうやね」
 ミレイは屈み込むと、博士の後ろについて来ていたこの世界最大の特徴にして一番の非現実に声を掛ける。
「チコ、チィコ!」
「ワニワニ~♪」
(うわ~っ! やっぱ可愛すぐる!!)
 チコリータとワニノコが元気良く挨拶を返し、ミレイは今日も朝から一気にテンションが上がった。ヒノアラシがささっとウツギ博士の足にしがみついたが、それもまた良し。微笑ましくて萌えるというものである。
 全く見知らぬ土地、どころかどうやら異世界に、いわゆるトリップを果たしてしまったらしいとミレイが認識し、それでも数日でショックからある程度回復したのは、明らかにこのポケモン達に負う所が大きかった。
 そもそもはチコリータとワニノコのバトルから逃げてきたらしいヒノアラシが間違えてミレイの寝かせられていた部屋に飛び込んできたのが、ミレイが生のポケモンを見た最初の瞬間で、あの時の衝撃ときたら、よく再び発作を起こさなかったものだとミレイは自分に密かに感心したほどである。尤も、単に発作を上回る勢いで萌えただけなのかもしれないが。そう考えると萌えとは恐ろしいものである。
「ミレイちゃんも今日は大分調子が良いみたいだね」
 ふにゃ~とした笑みを浮かべるミレイにドン引きしないウツギ博士は、やはり大物だ。というのは横に置いておくとしても。にこにこと笑ったまま、彼はミレイにとって爆弾発言としかとらえようのない言葉を続けた。
「研究のお手伝いを頼んでも、大丈夫かな」
 ミレイはふやけた笑顔を戻す暇もなく、ピシリと固まった。
(……はへ? 今、何やのたまいました?)
 勿論、何かのたまってます。研究の手伝いって……研究って……一体何のイベントフラグ!?
 この時点ではポケモンハートゴールド、ソウルシルバーのストーリーをこれっぽっちも把握してなかったミレイには、ウツギ博士の台詞は全く心当たりのないものだったのである。

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